物語
□世界に二人きり?〜二日目〜
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「剣心…?剣心…!」
(あぁ…薫殿の声が聞こえる…。もう…朝でござるかな…?)
「薫殿………。おは…。」
(おろ?暗いでござる。)
がばっ。
「うっ!」
「剣心っっ!!」
声と一緒に寝たまま抱きつかれた。
「かっ…薫殿〜。どうしたでござる?」
「剣心、気絶したまま起きないかと思ったわ…。ひっく…うっく…。」
拙者の胸で泣き出してしまった薫殿。
(困ったでござる。拙者、薫殿の涙には弱いでござる…。どうしたものか…。)
「薫殿、もう大丈夫でござるよ。」
なだめる様に背を摩ってやる。
「うっく…うっ…ひっく。ひぃ…っ。」
なかなか泣き止んではくれぬ薫殿。
「薫殿、拙者もうどこも痛く無いでござるよ。」
「剣心…。ひっ…くっ…。本当?」
拙者の表情を伺う様に薫殿が顔を上げた。
安心させたく、笑顔を作る。
「剣心!」
がばっ!
再度激突の様な薫殿の抱擁。
痛い幸せでござる…
「良かったぁ〜♪」
拙者の腕の中で涙目の薫殿が笑顔になる。
(そう、その顔でござる。拙者が愛して止まないお日様の様な笑顔。ほら…また、拙者の心は温まってゆくでござる。)
ぎゅっう。
「剣心…?」
(この温もり、此処に薫殿が居て抱き締めれる事の幸せ。先程の寂しさが嘘の様…。)
「薫殿♪」
ちゅっ。
(当たり前の幸せの方が失い易いから。)
「剣心?」
(強く優しくこの腕に留めておかねば!誰にも渡さぬ!誰にも邪魔させないでござるよ!)
きゅっ。
ちゅっ。
「幸せでござる♪」
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