物語
□一撃
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ぽつんと。
一人その場に残されて。
何だか少しさみしくて。
いぇ…足りなくて。
私ってば…
自分で唇を指でなぞってみて、顔と脳みそが熱くなる。
一人置き去り。
もっと側に居たいのに。
さっきまで感じていた剣心の方が私より重く感じる事や体温が高く温かく感じる事をもう少し感じて居たくて。
もう少し触れていたくて。
もう少し、もう少し、欲しくて。
その壁の向こうに居ると想えば手を伸ばしたくて…。
でも、もしそれで嫌われたら?
もし端ないって思われたら?
拒否されたら?
ぴたりと足が止まる。
動けない。
剣心は向こうに行く最後も私に笑顔だったけど…。
不安が足に絡み付く。
空に雲が流れて来て、少し涼しくなる。
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