お題小説

□不意打ちキス(日吉滝)
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カリカリとペンが滑る
パラパラとページを捲る
しんとした図書館の閲覧室
申請すれば借りられる4〜5人入る会議室のような場所
そこに居るのは二人だけ

「ね、日吉」
「'つまんない'以外なら聞きますけど」
「…飽きた」
「そうきますか」

聞くと言った手前、手を止めて視線を上げる

「だって、二人きりなのに試験勉強なんて味気なさ過ぎだよ」
「学生の本分だから仕方ないですよ」
「んー、頭じゃ分かってるんだけど、勿体無い」
キラキラ輝く髪が綺麗
触りたい
思った時には呼んでいた

「滝さん、こっち」

隣を指すと素直に座る
さらさらと髪を撫でると気持ちよさそうに目を閉じた

名残惜しいけれど、勉強もしないといけない身
それでなくても期待の大きいテニス部員
一つ溜め息を吐いて手を止めた

「何?」
「滝さん、」
「ん?」
「滝さんを驚かせる事が出来たら、勉強に戻ってくれますか?」
「何賭ける?」
「テストが終わった後の時間を」
「乗った」

スルリ、頬に手をかけて撫でる
そのままキスを落とすとそれを深めた

日中、公の場所
滝を驚かせるにはそれで充分だが、駄目押しを

「萩だけが望んでると思うなよ」

不意打ちに弱すぎるのは
普段は見れない余裕のない真っ赤な顔を見れば分かる




end

 
 

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