お題小説
□重なる視線(塚リョガ)
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夜景の綺麗なホテルの一室
ワイングラスを持ったまま窓辺に立つリョーガは
ソファに座ったままの手塚に話し掛ける
「なー、クリスマスだぜ」
「そうだな」
「なんかこう…ムードが欲しい」
「ムードか?」
ふむ、と考えた後
手塚は立ち上がり
リョーガを後ろから抱き締めた
「何だよ」
「今日がクリスマスだなんてどうでも良い」
「っ……いやいや」
直接耳に伝わる刺激に僅か震えたリョーガだったが
言われた内容に突っ込みを入れる余裕はまだあった
「お前が居てくれれば、それで良い」
窓越しにカチリと合った視線
「……言うようになったなー」
一瞬、反応が遅れた
その照れを隠すために視線をズラすが
「リョーガ」
呼ぶ声に顔を上げてしまう
視線が重なる
「好きだ」
今度こそ、動けない
映る姿にさえ、逆らえない
「手塚…」
その声は、重なる唇に阻まれた
end