お題小説

□離さないって言ったらどうする?(跡リョ)
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「秒速5センチメートルって桜の花びらが落ちる速さなんだって」
「…へぇ」
「何だよ、感動とかないわけ?」

仰向けに寝転んだソファから更に上を見て
逆さまの世界に跡部を写す
机に向かっている、つれない姿は変わらなかった

「見たんだよ」
「…何だ、つまんない」
「お前は、どう見た?」
「感じた、で良い?」
「ああ」

音もなく回転した椅子に気付かず、
リョーマは真っ直ぐ高い高い天井を見つめた

「幸せだと思った。3人とも
「ほう?」
「切なかった…ってのが普通なんだろうけど、一途に想えて幸せでしょ。それに、」
「それに?」
「覚悟が出来てたから。前向きに生きていく、覚悟。…羨ましい」
「面白いな」

ふわり、右手を頭の横に着いて覗き込まれた

「面白い?」
「interestingの方だがな」
「うん、分かる」

ニヤリと笑ってリョーマの額に軽くキスを落とした

「でもな、リョーマ」
「何」

瞬きもせずリョーマは跡部を見つめた

「俺は離さねぇぞ」
「…」
「って言ったらどうする?」

驚いたようにリョーマはその目を見開き、
楽しそうに細めた

「望むところ」

首に腕を回し、思い切り引き寄せた




end
 
 

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