お題小説
□つまり好きってこと(光謙)
1ページ/1ページ
「漢文面倒や…」
宿題のワークを開いて光は言う
「面倒って…お前は出来るから言えるんや」
「まぁ、否定はしません」
「うわー…何も言い返せん」
ポイッとシャープペンシルをワークの上に投げてオレンジジュースに手を伸ばす
「ってか光が勉強を面倒って言うん珍しいな」
「そうですか?」
「うん、何で面倒なん?」
クーラーの回る音だけがしばらく響いた
その間に謙也はオレンジジュースを飲み、
光は頬杖を付いてじっと謙也を見つめた
「…遠回りやから、ですね」
「そうなん?」
「回りくどく例示並べたててるのが面倒なんですわ」
「へー…読み取れれば面白いと思うけど」
そう言う謙也をじっと見て
しばらく言葉を探した
「ほな…謙也さん」
「ん?」
「花が太陽に向かうように、月が太陽を追うように、川が海を目指すように、私はあなたを見ています…って言われるのと、」
かちっと目を合わせて逃がさない
「大好きです」
「…っ!」
「って言われるのどっちが良いですか?」
目を細めて赤い顔を捉える
そのままずるずると隣に移動する
「ねぇ、謙也さん?」
「ひ…かる」
額を合わせて覗き込む
ほら、目を閉じて
薄く唇を開いた
遠回りなんて、無駄でしょう?
つまり好きってことなんやから
end