お題小説

□側にいていい?(日吉滝)
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ぼんやりと部活後に日吉の家でくつろぐ
音のない会話のない穏やかな時間が過ぎる
破ったのは突然の滝の言葉

「好き」

あまりにも突然で日吉は驚く

「滝さん?」
「…って際限ないよね」
くるりと振り返って真面目な表情で続いた言葉

「は?」
「うん」

独りで納得したのか、驚く日吉を無視して頷く

「どうしたんですか?」
「ワガママだなぁ、って」

口外に自分がと伝える滝にきっぱりと答える

「そうですね」
「否定はしないんだ」
「自覚は大事らしいので」
「まぁ、そうなんだけど」

言ってクスリと笑う

「で?」
「うん、だから今日は帰るね」

立ち上がる為に座り直した極端な人
思考について行けないのは最早日常

「何でそうなるんですか」
「たまには我慢も必要かなって」

そう言う滝を目で制して質問を投げた
前から少し、興味があった事

「一番叶えたいワガママって何なんですか?」

本音が知りたい
滝が知りたい
大切だから

「今日は我慢の日だよ」
ふわり笑って誤魔化そうとする
誤魔化されて欲しい
だって、あまりにワガママだ

そんな様子に焦れた日吉は最終手段を出す事にした

「萩」

腕を掴んで
立ち上がりかけた滝の目を捕らえる

「…う」
「言うよな?」

ニヤリ、笑う
少しばかり強引で
敬語を捨てた自分に
この人はあまりに弱い

「ズルい」
「何とでも」

案の定目元を染めてペタリ、腰を落とした
恨みがましい視線も日吉にとっては可愛いだけ
諦めた滝は大きくため息を吐いて、覚悟を決めた

「…側に、いていい?」
ワガママ
ワガママ
だけど、
一番願う

あまりに容易い願いに日吉は目をしばたたせた
そして、柔らかく笑んで真っ赤な滝を抱き寄せた

「もちろんです」




end
 

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