作品その1

□日常(光謙+蔵)
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「きれいやなぁ」

そう言うあなたの方が、余程。


退屈で仕方がない午前中。サボらず真面目に席についていたのに、何が気に入らないのか数学教師に指名された。何てクダラナイ問題。公式を当てはめるだけで捻りも何もない。嗚呼、先輩たちもこのくらいクダラナくて単純なら良かったのに。それはそれで楽しくないから今のままで良いか。目の端に映る廊下を見覚えのあるゴンタクレが瞬間移動した気がする。きっと気のせい。いや、見なかった。あれを抱え込んで部を成り立たせる先輩たちはやっぱり一筋縄なんかじゃいかない。黒くて複雑で弱点晒すのが何より嫌いな先輩たち。ま、例外がひとり。金色の素直で優しい男前。公式通りの反応。読み切れない言動と感情。愛しい愛しい人。嗚呼、そうか、数学教師が気に入らなかったのは教科書もノートも筆箱も机の上になかった事か。
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