作品その1

□美味しい?(光謙)
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大寒波
相変わらず体温の低い光はやはり今日も氷のような手をしていた
「何やこの冷たさ!!」
「謙也くんがあっためてください」
ほら、と差し出された手を何の抵抗もなく包む
「手袋どしたん?」
「鞄の中なんですけど、出すのが面倒なんスわ」
「…あー、」
今日はバレンタイン
全国区のテニス部レギュラーともなるとモテる
予備の紙袋一つでは足りないので普通の鞄の中にも詰め込んでいた
「本命全部断ったんは意外やったわ」
それでもこれだけの量なのだから、凄いなと続けると繋いでいる手を軽く握られた
「謙也くん居てるんやもん」
「………」
「顔、赤いですよ?」
「…誰のせいや、アホ」
「オレのせい。な、それよりそのチョコレートはいつくれるんですか?」
謙也の持つ2つの紙袋のうち、余裕のある片方を指す
「気付いてたん?!」
「勘ですわ」
しれっと言われて恥ずかしくなる
ちょうどいつも別れる道にかかっていた
繋いでいた手を放し、乱暴に紙袋を渡した
「う…美味くなくても知らんからな」
「謙也くんがくれたもん、美味くないわけが無いやないですか」
「恥ずかしいやつ」
ついでに、と
カイロを渡して別れた
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