作品その1

□残寒の候(塚リョガ)
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下校途中、寄り道もせず真っ直ぐ家に向かう二人が居た
「さみぃ…」
「ならば学校に出て来なければ良いだろう」
「誰だよ、恋人と手を繋いで相手のコートのポケットに入れればポカポカだって言ったの」
「ただの流言だろう」
「タクシー呼ぼうぜ、タクシー」
「到着前に家に着くが?」
「仕方ねぇな、」
手を放し自分のコートのポケットからラッピングされた袋を取り出す
封を切りトリュフを一粒口に放り込むといきなりマフラーを引き寄せ手塚にキスを仕掛けた
させるが儘にしていた手塚の予想通り、甘さ控えめのトリュフは口移しで渡された
「happy valentine」
「…少しは暖まったか?」
「是非とも続けてやりたいところだけど…」
「早く帰るか」
「冷めないうちにな」
やはり手を繋いで寄り添いながら、帰宅を急いだ二人だった

《蛇足》
「あのトリュフ、手作りだぜ」
「だろうな」
「知ってたのか?」
「勘だ」
「…部長もたまにはお茶目だな」
「バレンタインだからお約束をしてみたいお前には負ける」
「お見通しかよ」
「もう、黙れ…」
「ん…」

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