作品その1

□電話(蔵から忍へ)
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語学は日本語と英語だけで良ぇと思う
まだ中学生なんやし、部活忙しいしまだ中学生なんやし。
辞書を机に滑らせて伸びをすると、タイミング良く電話が鳴った
「はい」
『よ。元気か』
「…お掛けになった番号は現在電波の届かない所に」
『居るわけないやろ。相手確認せんかったお前のミスや』
「相変わらず痛いとこ突くなぁ、蔵」
予習を諦め電話に集中する事にする
「ま、良ぇわ…どしたん?」
『恋人できた』
「良かったな」
『驚くなよ、男やねん』
「ほー」
『ちょっとは驚かんかい!』
「驚くな言うたんそっちやん」
『社交辞令や前振りや!』
「…千里千歳。元九州二強。デカい図体して優しい性格。金ちゃんやっけ?のお父さんキャラで良ぇんやろ、お母さん」
『…謙也か』
「そういうこと」
『つまらん』
「上手くいっとるみたいやな」
『…ま、な』
綺麗な顔の幼なじみはきっと恥ずかしそうな、幸せそうな表情をしているのだろう
こちらも思わず微笑んでしまう

『…あ、謙也な、今好きな子居るんやで』
「まさか蔵…手出してないやろな」
『あほか!誰があんな小生意気なピアスに』
「…部活仲間か」
『ダブルス相手や』
「どんな状況なん」
『良ぇダブルスやで。強い気ままな光を謙也が上手くまとめとる』
「そうやなく」
『両想い』
「で、すれ違いか」
『さすが侑士』
「端から見とってもどかしくないん?!」
『楽しい』
「…はぁ」
『光のストレートな口説きを謙也が笑顔でかわして、その後で期待しそうでグルグル悩む謙也が可愛い』
「サドやなー」
『まぁな』
「楽しむんも程ほどにな」
『ん。ほなまた電話する』
「千歳くんと仲良くな」
『…うるさいわ』

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