作品その1

□口説く(光謙)
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あの後輩は分かりにくい。
どこからどこまでが冗談で
どこからどこまでが本気なのか…

「あ、謙也くん」
「せ・ん・ぱ・いや」
「良ぇやないですか。俺と謙也くんの仲なんやし」
「ダブルス組んだくらいで変な仲にせんといてくれ…」
「ま、それは良ぇとして…今帰りですか?」
「せやで」
時刻は夕方
大分人の捌けた学校の校門前に二人は居る
一人は徒歩で
一人は自転車で
「送っていきましょうか?」
問うたのは自転車通学の光
「意外やな」
「何が?」
「センパイいじめや、とでも言いそうやん」
笑いかけると光は至極マジメに答えてくれた
「謙也くんやから、送って行きたいんやけど」
「…は?でもほら、お前彼女居てる言うて…」
「冗談やん」

「…」

「ほら、早よ後ろ乗って」
「あ、おぅ」
鞄を取られかごに入れられ、二人乗り
「部長と一緒やないなんて珍しいですね」
「あー、今日は千歳んとこ行く言うてたし」
「そうなんや」

…何か、何か誤魔化された?

あの、「冗談やん」はどこにかかるん?

とは、何故か聞けなかった。

…都合良く期待してまうやん、な










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