「行ってくれるか?」
「「「はい!!」」」

自分の前で頭を下げ去って行った若者達へ托した願い。
孫堅は数年前の光景を今でも思い出す。
小さな、愛され方を知らない子供だった。言葉を知っているのに口に出すことの無い可哀そうな子。

「無事に見つかれば良いのだが…」

やれることは全てした。後は、報告を待つのみ。



*****


「伯言、ちょっとは待って下さいよ!」
「私達を置いていくつもりですか?」
いつもよりも歩調が速い友を孫桓と朱然は走るように追いかけた。
前を歩く彼は歩みを緩める様子も無く黙々と歩き続ける。
共に行動をするようにといわれているし、何よりも二人は彼を気に入っている。だからこそ、今回の依頼も受けたし頑張ろうと思っている。それなのに彼は止まらない。

「こうなったら…無理矢理でもとまってもらいましょう。」

朱然が何かを呟くと彼の前にザクンっと柵が現れついにその歩みを止めた。

「何ですか孫桓も朱然も…」
駆けてきた二人を振り返る陸遜の表情は常よりも険しさを増している。女性に見間違う美しい顔立ちに浮かぶ額の青筋が一層その怒りを彷彿とさせ、孫桓はその迫力に咄嗟に朱然の後ろへ隠れるが、朱然は構わず反対にニコニコと微笑み陸遜に話しかける。

「慌てても仕方の無いことでしょう?ゆっくりとは言わないが、焦らず行こう。」
朱然の言葉に孫桓も続く。
「朱然の言う通りだよ伯言。焦らずに行こう、いつもらしくないな。」
二人の言葉に陸遜は吐息を漏らすと、ボソリと漏らした。
「仕方ありませんね」
たった一言。それでも朱然と孫桓は陸遜の怒りが収まったのを知りホッと一安心。

そうして三人は孫堅から秘密裏に課せられた任務を遂行する為魏へと向かった。






君を見つけるために僕は駆けるから

どうか変わらない笑顔で微笑んで


「抗‥」



それだけが私の願い









補足↓

*補足

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