□青春■

□下駄箱の手紙。
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朝下駄箱を開けば

お決まりというか、これが例の…






【下駄箱の手紙。】






上履きの上には白い封筒が入ってた

差出人は……書いてない



取り敢えず鞄の中に入れといて授業中にでもこっそり見よう


そう思って鞄に手紙を忍ばせ教室に足を進めた





―――――…


授業後半 同じとこを何度も説明する定年前の先生の話に欠伸が出た頃

手紙の事を思い出す


暇潰しに読ようもと思い 鞄か手紙を漁り出した


「…………」


なんだこれ…?


手紙を開ければ封筒と同じ真っ白い紙が入ってて

その紙に並ぶ文字は


『大嫌いです。文句があるので昼休みに屋上まで来て下さい』


という内容とは裏腹に丸い女らしい字で書いてあった


大嫌い?
文句?


いきなり大嫌い宣言されても困るし
なんでわざわざ知らない奴に文句を言われに行かなきゃいけないんだ?


俺を好きだと告白してくる
どこを好いてるのかが全くわからない奴よりは面白そうだな


なんとなく怒りより興味が沸いて

昼休みに書いてある通り屋上に行くと、フェンスに張り付いて空を見上げる女の姿が目に入った


辺りを見渡しても他に人は見えないから多分コイツだろう

見た目からはあんな文章を書くようには見えないが


「あっ …日吉若、来てくれたんだ」


俺に気がついて振り返ったソイツはどこかで顔は見たことはあるが名前までは思い出せない


「…で、文句ってやつを聞こうか?」

「あー…うん」


ソイツはフェンスを離れたと思ったら俺の横を通り過ぎ背を向けて距離を置いた


「…日吉若ってさ、前髪長くてサラサラでしかも目が切れ長でさ」


…意味がわからない
なんでいきなり前髪の話なんだ?

そんな俺の考えてる事を知らないソイツは話を続ける


「背ぇ高くて 身のこなしが凄く柔らかと言うか…綺麗と言うか」

「…」

「肌も綺麗でテニスも上手くて二年のくせに今はレギュラーになっちゃったりしてさ」


「…つまりさ、日吉若は……私にとって完璧過ぎる存在なの」


「ムカつく…格好良すぎなんだよ…」


振り返ってソイツの顔を見るが下を向いてて表情まではわからないが
全てを言い切ったようにその後の言葉を続けようとしない


「…それが、文句なのか?」


小さく頷く


変な因縁をつけられたらと思ったが
端から見れば

というか 寧ろこれって…



「お前…俺の事好きなのか?」

「!?…知らないっ」



核心を突かれたのか
それとも気付いてなかったのか
 
ソイツが上げた顔が真っ赤で屋上から出てってた



「…っ……」


自分で言っといて凄く恥ずかしくなった

が、俺もアイツに文句が出来た

あんな終わり方で文句がない訳ながない




数日後

俺はアイツの下駄箱を探し
アイツと同じようにそっと手紙を忍び込ませた



end


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