□青春■

□「さようなら」を言おうか。
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いつからだろう

君との距離を感じ始めたのは






【「さようなら」を言おうか。】






最初は本当に好き、だったんだと思う

ふと見せる笑顔 話し声に


俺に向かってじゃないのに何故か嬉しくて
俺だけのものにしたくなって


それから仲を深める間もなく告白した

付き合ってからも
一緒に居て欝陶しいと思った事もないし、嫌だとも思った事がない


それでも 最近
一緒にいる事に違和感を感じている



その違和感はなんなのか
それはわからねぇ

でも これ以上一緒に居ても何故か無駄な気しかしない




「赤也くん、今日部活休みなんでしょ?一緒に帰ってもいい?」

「…あぁ」


控えめな性格がいいと思った

でしゃばらずに俺の事を考えて優先してくれる事が楽だった


前にも彼女が居たけど 俺と付き合ってる事を鼻にかけてたし
色々と制限してくるのがうざかった


「帰りどっか寄る?」

「…いい」

「わかった」


…でも 何か違うんだ

何かが…


「…」

「…」



…あぁ
何かが違うなんて わかり切ってるじゃねぇか


「…なぁ」

「何?」

「……」



…いや
そんな筈がない

でも…


「どうしたの?赤也くん」

「…と…にさ」

「何?」

「…本当にさ、俺の事好きか?」



俺の問い掛けにお前は立ち止まった

なぁ なんでそんなびっくりした顔すんだよ

すぐに笑ってさ「好きだよ」って言えよ


「…ど、どうしたの?急に……」

「なぁ どうなんだよ?」

「赤也く「どうなんだよ!!」


ついカッとなって両肩を掴み前後に揺らした


「っいや…」


初めての拒絶の声が聞こえたのと同時に頬に少し痛みが走った


「って…」

「ごごめんなさ…」

「…お前さ、俺に…好きって言った事ない…よな?」

「え?」

「本当は俺の事…なんとも思ってねーんだろ?せめてクラスメートとか?」

「ちが、赤也く…」

「じゃあ さようならしようぜ?」

「………ゃ」

「今まで付き合わせて悪かったな」

「いや…!赤也くんっ」


必死に俺の服を掴んで俺が進む事を拒むけど

多分前まではそれを愛しく思って
にっこり笑って抱きしめたんだろうけど……


今はそれを愛しくも思えない


寧ろ うざったい






さぁ お前に
この恋心に
愛しさに

お前に賭けた全てに



さようなら



end


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