□青春■

□俺達の距離はカワラナイ。
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知っていた、

俺がどんなに想いを募らせようが…






【俺達の距離はカワラナイ。】






いろんな奴に壁をつくり
いろんな奴を拒絶してきた俺だが

心の底から信用できる奴ができた


最初こそ 他の奴同様警戒して拒絶しちょったが

お前さんはそんな俺に動じることなく、退屈のしない笑顔をいつも変わらず見せてくれる



そんなお前さんが
信用できる奴から大切な奴
大切な奴から愛しい奴になったのはいつからじゃろうか

気づいた時にはもうすでに遅くて


お前さんには 恋人が居った
そいつは俺のよく知っとる数少ない信用できる奴で


二人の仲を無理矢理引き裂くようなことはできんかった

こんな俺に優しくしてくれる二人じゃから…



「ねぇ仁王今日の部活見に行くからサボらないでね」

「何言ってんじゃ 俺は部活皆勤賞じゃよ」

「あはは!そうだったね」



ほら 俺のこんなくだらない嘘にじゃって笑って付き合ってくれる

俺がたまに部活をサボるのを知ってる
だからこそ 部活を見に行くと言うて俺が部活に行く言い訳を作ってくれる



「仁王くん では行きましょうか」

「そうじゃな」

「じゃあ仁王くん、柳生くん頑張ってね」

「ありがとうございます」

「…あぁ」



柳生も 彼氏のくせに
俺を少しばかり優先することに嫉妬もせずに笑う


…なんでじゃ
なんでなんじゃ

なんで二人はそんなに優しくしてくれる?
俺なんかに、


俺なんかに優しくしたって見返りはないぜよ
人を騙し突き放し…嘘を平気でつく俺なんか…



それなのに
俺は そんな二人の優しさにつけ込み甘える

そしてお前さんに惚れまでしてしまった



こんな俺を知ったら離れていくじゃろうか…





俺は自分のこんな汚い心を理解しときながら

二人から離れる選択肢は出てこんかった


出せる訳がなかった


この関係、この距離を崩しとうない

なら どうすれば崩れない?
この距離を変えずにできる?



悩まずとも 簡単に出てくる選択肢

このままの状態を維持する


それはお前さんにこれ以上近づくこともできんけど

そうすれば…
そうすれば……




「仁王 頑張れー!丸井なんかに負けるなー!!」

「当然じゃよ」




この 曖昧で微妙で気持ちいい距離をカワラズいられる



end


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