□青春■

□窓から眺める彼女の部屋。
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今日も見える

名前も知らないけど、お前の姿が見れるだけで充分なんだ






【窓から眺める彼女の部屋。】






最近学校の通学路を変えた

たまたま朝寝坊して少しでも早く学校に行けるルートと思って通った道が始まりだ


そこは住宅街の裏道だけど、朝の騒がしさがない静かな道で

そこを走ってた時にだんだん雲ってきて
雨降んのかなー傘持ってないんだよなー


なんて思いながら走ってたら雨が降ってきて
雨宿りなんか出来ねぇしでひたすら転ばないように走ってると

家の前で白い傘をさしてるのが見えて不思議に思った俺は速度を緩めて歩いた


近づくと顔も見えて そいつは女で
そいつの目の前まできたところでそいつと目が合いにっこりと笑ってきた


「…傘ないの?」

「ぇ…あぁ い、いきなり降ってきたから……」

「私の傘あげる」

「いや 悪いって…」

「私はもう家に入るからいらないし」


そういうと無理矢理俺に傘を持たせてそいつは家に入った

傘を渡された時に握られてた手が熱い…



その後 その傘で部室に行くと
部室に揃ってたレギュラー陣に白い傘の事を聞かれたがうざったかったのでそこはシカト


でも
明らかに俺のものじゃないそれを侑士がその後もしつこく問い詰めてきたから仕方なく朝の事を話すと

変に侑士はニヤニヤした顔で「それは恋やな…」なんて言うから殴ってやった



でも ずっとそいつの事が頭から離れなくて


いつの間にか
その裏道を通るのが日課になった

そして最近発見した事がある

いつも俺が朝練に行く時間に起きてて、部屋の電気がついている


そいつがいるとわかるだけで胸が弾んだ




数日後
朝 俺の家にわざわざ侑士が迎えにきて

理由は「最近ニヤニヤしてるのはその傘の子のせいやな」だそうだ
そいつの顔を見たいから迎えにきたとの事


すっげー迷惑極まりない
でも 侑士ごときに俺の日課を崩されるのも嫌で仕方なく侑士とその裏道を歩いた



家の近くにくると侑士のニヤついてた顔が一気に真面目な真剣な表情になって

俺は不思議に思ってるとまだ場所を教えてないのに侑士はそいつの家を指差した


「…なんで侑士知ってるんだ?」

「…あの子な 一ヶ月前まで俺のクラスメートやったんや…体調崩してもう学校に来れん体になってしもうたんや……」

「じょっ冗談…だよな…?」

「外に長時間居る事が出来ないんやって」


多分 その日はそいつの気まぐれで少しだけ外に出てただけで
いつもは部屋に軟禁状態らしい…


胸がズキズキと痛んだ
侑士の言う事を認めるのはちょっと嫌だけど俺はそいつに恋してたんだ

でも、それは叶うことのない


それでも俺は毎朝窓から見えるそいつの部屋を見るよ



end


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