078 シャングリラ後日談

□君に歌う歌 再
1ページ/14ページ

着慣れたシャツに、履き慣れたスカートにパンプスで、私はわくわくしながら駅に向かった。達樹くんの実家に挨拶に行ってから、二週間。今日は、『シャングリラ』のメンバーに、結婚のことを報告するために正巳さんのお店で食事会をすることになっている。

みんなに会えるの、久しぶりだなあ。元気かな。早く会いたい……。

『シャングリラ』のメンバーは、私にとっても達樹くんにとっても、親のような、お兄ちゃんお姉ちゃんのような存在だ。それでも、本当の自分の両親や、達樹くんのご両親に挨拶に行くのとでは、心持ちが全く違う。足取りも軽くタクシーに乗り込むと、ちょうど達樹くんからラインが届いた。

『今日、楽しみだね。明日の夜は空いてる?仕事早く終わりそうだから、会いに行きたい』

今日は木曜日で、明日は金曜日だ。

金曜日の夜に達樹くんに会えるなんて、ツイてる!

『うん!すっごい楽しみ!明日の夜も空いてるよ!』

返信しながら、ふと考えた。

たぶん……今日は、達樹くんと一緒でも、いつもみたいに話したりはできないし……ふたりきりの時とは違う雰囲気になるだろうから、次の日にふたりきりになれるのは、うれしいな……。

大北さんの結婚式の時のことを思い出していると、達樹くんからの返事にも、私の考えと似たようなことが書かれていた。

『よかった。みんなといるのと、二人きりじゃやっぱ違うから』

わー、考えてること一緒!

ニヤニヤしそうになるのを堪えていると、追加でメッセージが届いた。

『みんながいると、好きな時に触れないし』

なっ……何言ってんのっ!!

勢いそのままに『何言ってんの!』と返信したが、達樹くんの気持ちが、とても嬉しかった。我慢しようとしたけれど、やっぱりニヤついてしまう頬を携帯で隠しながら、今日集まってくれる皆のことを一人ひとり思い返していた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ