078 シャングリラ後日談

□羨望 菜々サイド
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「『カニバルゲーム』?」

「そう! 実写化すんだよ。菜々ちゃん、読んでる?」

「読んでないよ! 怖いやつでしょ?」

「いや、確かに多少グロいけど。今めっちゃ話題になってんのに……」

「グロいのやだ! え? 実写化……達樹くん出るの?」

「うん。主演じゃないけど。すっげえ嬉しい! 俺めっちゃ読んでるから! でも俺、役のイメージに合ってるかなあ……ちょっとこえーけど」

「え〜〜達樹くん出るんだったら観なきゃなんないじゃん〜〜」

「すげえイヤそうに言うね……」

「だってグロいのやだ〜〜」

部屋に遊びに来てくれた達樹くんが、今度の映画出演の話を嬉しそうに話してくれた。今大人気の漫画の実写化らしいが、私には少々ハードルが高い。

「大北さんも出るんだよ。会うのすげー久々だわ」

「ええっ! ますます観なきゃなんないじゃん〜〜」

「いやマジ観てほしい! つーか原作読んでほしい! 面白いから!」

「やだ〜〜怖い〜〜」

「もう……映画は観てよ! 仁美ちゃん誘ってさ」

「う〜〜……仁美はまあ、グロいの大丈夫だと思うけど……」

大学時代はほぼ毎日顔を合わせていた仁美とは、卒業して就職するとなかなか会えなくなってしまった。元気にしてるかな……。

「今回、キャスト豪華だよ。主演が日高湊で、里見京介、藤谷司、栗原結愛、諏訪このみ……」

「わっ! ほんとに豪華……! また日高湊と一緒なの?」

「そー。湊とはマジでよく一緒になるなあ。やりやすいけど、あいつ2個年下のくせに初対面でいきなり呼び捨てでタメ口きいて来たんだよなあ」

「あははっ! なにそれ? ナメられてるってこと?」

「向こうはタメだと思ってたんだって。後になって、実は俺が2個上だって聞いたらしくて、慌てて謝ってきたけどさ。でも、『達樹さん!』って呼ばれて敬語使われたら、気っ色悪くて、もういーわ! つっちゃった」

「あははは! 見たまんまだね! なんか人なつっこそうっていうか、懐に入るのが上手そうだよね、日高湊」

「あー……そうだなあ。得な性格かもな。NG連発されても、『達樹、ごめん!』って言われたら、しょーがねえなあ、ってなるんだよなあ」

「ふふ。大北さんもいて、日高湊もいるんなら、緊張しないで撮影できるね」

「まあ、そうだな……初共演の人もいるけどね。がんばるから、観に来てよ」

「んー……うん……うん。はい。わかった」

「ほんとかよ!」

正直、グロテスクな表現の多そうな映画を観るのはかなり抵抗があるが、達樹くんがあまりにも嬉しそうにしているものだから、私も少しだけ公開が楽しみになってしまう。しかし、この時の私は、『カニバルゲーム』の撮影中に、達樹くんに恐ろしい事件が降り懸かることを知る由もなかった。
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