078 シャングリラ後日談

□君と描く未来
2ページ/14ページ

『姉ちゃん! 久しぶり』

「久しぶり。元気してる?」

『元気だよ。何だよ、姉ちゃんが電話してくるなんて珍しい。結婚でもすんの?』

「うん、そーなの」

『おおっ!』

両親に話すよりは、弟の方がハードルは低い。鋭い弟には、私もさらりと本心を話してしまう。

『え? まだ、あの長く付き合ってる人と続いてんの?』

「そう」

『ふーん。ようやくか。全然どんな人か教えてくんないから、ちょっとこえーけど』

「あのねえ……坂井達樹なんだよね」

『ぅえっ!?』

「前に週刊誌の記事になってたでしょ」

『……マジで!? 姉ちゃん、すげーじゃん!! 大金星!!』

その反応に、力が抜けてしまった。

「軽っ! 内緒にされてて、怒んないの?」

『は? なんで? そんなん、言いふらす方がおかしいだろ。腑に落ちたわ! そりゃ誰にも言えねーよなあ』

「坂井達樹がお兄ちゃんになるんだよ? なんも思わないの?」

『俺、坂井達樹好きだよ。会いてえー! 会えんの? 父さんと母さんには?』

「まだこれから……。反対されるかな……?」

『どうかなあ。まあ、今までの話聞く限り、大切にしてくれてて、姉ちゃんも好きなんだろ? 大丈夫じゃね? でも、まず会って結婚の報告した方がいいと思うよ。電話より』

「うん……そうだね。そうするよ」

『もし反対されたら、俺味方になるから! 実家に挨拶に来るなら、早めに予定教えてよ! 空けとくから』

「ありがとう。また連絡するね」

『うん。待ってる!』

通話が途切れた。

お父さんとお母さんも、これくらいすんなり受け入れてくれたらいいけど……そうはいかないよなあ……。

ぼんやりと考えながら、両親にどう切り出すか、そして両親の反応を何度も想像してしまっていた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ