078 シャングリラ後日談

□Surat
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「菜々ー! おはよっ! 昨日どうだった? お楽しみだった!?」

夢のようだった誕生日の翌朝、駅で電車を待っていると、仁美が私に気付いて寄って来てくれた。

「うーん……うん、すっごい幸せだった……」

私の口振りに、仁美は仰天した。

「えっ……!? 何その感じ……言動と態度が伴ってない……!」

「いや、ほんと、幸せだったの……一緒にごはん食べて、ケーキ食べて、『シャングリラ』の台詞覚え直して来てくれたんだよ!」

仁美は目を輝かせた。

「何それっ! 部屋で二人きりで『シャングリラ』のワンシーン再現したの!?」

「ワンシーンってほどじゃないけど! ワンラリーくらいだけど! でも、懐かしかったし、すっごくうれしかった!」

思い出しながら、うっとりとしてしまう。すると仁美もうっとりとした表情で溜め息をついた。

「すてき……ラブラブだね……」

「ありがと……でもねえ……」

そこでちょうど電車が来た。乗り込むと同時に、はあ、と溜め息が出てしまう。

「なに、なんなの……?」

仁美の表情は、「もうこれ以上不安にさせないで!」と強く訴えて来るようだ。私も本当に同じ気持ちだと思いながら、昨日の達樹くんとのやりとりを思い返した。
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