078 シャングリラ後日談
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「え!? 会いに来てくれたの!?」
「そう……!! もう、毎日泣いてたけど、昨日は別の意味で泣きすぎた……」
大学のカフェで、昨日の事の顛末を仁美に話した。私の言葉に、仁美は大きく息をついた。
「菜々……よかったね……。もう、このまま別れなきゃいけなくなるかと……」
言いながら、仁美はぽろぽろと涙を零した。
「仁美……ほんと、迷惑かけてごめん。ありがと……」
「う……菜々〜〜……よかったあ〜〜……」
二人して泣きながら、ぎゅっと抱き合った。後から思えば、だいぶ怪しい二人組だ。
「……それでね、今日も会いに来てくれるって!」
「うそ! 2日連続!? ……あ、菜々、誕生日だからか!」
「私、すっかり忘れてた。仁美、覚えてくれてたの?」
そう言うと、仁美は肩を竦めた。
「うん。思い出させると良くないかと思って、黙ってた……ごめん。菜々、おめでとう」
「仁美……ありがとう。ほんとごめん……」
「いいよ。もう、その報告が何よりうれしいから!」
涙を拭いながら、やっと笑い合った。せめてものバースデープレゼントだと、仁美は私の分の会計も済ませてくれた。晩ご飯に何を用意するかを相談していると、もう私の心は今日の夜に飛んでいた。