お題小説C
□098 オレンジ
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「じゃあさぁ、これからはずっとこの時間に、一緒に帰ろうよ。夕焼けがキレイだって、きっと思えるようになるから」
―――え?
………え!!!?
いや、嬉しいんだけど! 嬉しいのは嬉しいんだけどコレはどーいう意味!? 私の気持ち…知ってたの?
「あはっ、やっぱやだよな〜、変なこと言ってゴメンな」
私が焦って何も言えずにいると、藤堂くんが俯きながらそう言った。
……えっ、何!?
さっきのはじゃあそう…そういう意味だと捉えちゃっていいのか!?
ぎゅっ、と胸が締め付けられた。無意識に、藤堂くんの制服の裾を掴んだ。また、目が合った。
「藤堂くん…今の」
「あ〜もうイイだろ!! わかってんだろ!!」
藤堂くんが両手で両耳を塞ぎながら、ぶんぶんと首を振った。
なんて、愛しいんだろう。思わず、表情がくしゃ、と潰れてしまった。
「なんだよ〜、笑うなよ」
そんな風に悔しそうに言われたって、私には可愛いとしか思えない。
「ありがとー。私、藤堂くん大好きだよ」
今度はちゃんとした笑顔を作って、柔らかく言うと、藤堂くんはカッと頬を染めた。
ああ、やっぱり私、夕焼けってキライだ。
真っ赤になった藤堂くんの顔をしっかり目に焼き付けたいのに、夕焼けのせいで、よくわかんなくなっちゃってるんだもん。
END