お題小説C
□093 転寝
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「大樹ィィィィィ!!!!!!」
「だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「やっと起きたー!」
「希ぃ!! イイ笑顔だなオイ!! 鼓膜破れるかと思ったじゃねーか!!」
「だって全然起きないんだもん。…ってあぁぁぁ大樹―――!!!!」
「今度は何だうっせーな!! こっちゃ寝起きなんだよ!!」
「鏡見て鏡!! あっはっはっダッセェ!!」
「あー!?」
そして、数秒後。
「希ィィィィィィ!!!!!!」
「あっはっはっはっ最高〜おなかいたー!!」
「えっおまっコレ剃ったの!? 全剃り!? 全剃りなの!?」
「あっはっはっはっかっこわるー!!」
「聞けやァァァァ!!!!」
……そして、さらに数分後。私は大樹の眉に貼った肌色のシールをビッ、と剥がした。
「いってぇ!!」
「あ、抜けた」
「何ィ!?」
「ウソウソ☆ ほらっ」
「………(ほっ)」
「次は何にしよっかな。落書きは油性じゃなきゃね。それとも」
「希」
びく、と肩が動いた。
「……やっぱ怒った?」
「鼓膜と眉毛のダブルパンチだからね」
「ごめんね。もうしないから」
「どっちも無事だからいいけどよ。何であんな真似したんだよ……」
「……だって、大樹最近寝てばっかなんだもん」
「お前だって前はそうだったじゃねーかよ」
「それは訳があったからじゃん。大樹の訳も聞かせてよ。夜は寝てないみたいだしさぁ」
私がそう言うと、大樹は急に目を泳がせた。
「ねぇー、なんでなの!?」
食って掛かると、大樹はますます言いにくそうに顔を逸らした。