お題小説B
□083 常陰
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083 常陰
体の右半分が暑くて堪らない。右目を細めて、息を吐き出した。もう三時間もこうして外で先生達の言いなりになっている。みんなも疲れ切っているようで、頬が赤かったり目を閉じている人もいた。
ああ、痛い……。
ついさっき気付いた。早過ぎるよ…四日ぐらい早いよ。みんなに気付かれないように、左手でそっと腹を撫でた。
時計は三時を指している。あと五分で六時間目終了だ。これだから体育大会って嫌い。行進だとか校歌だとかマスゲームだとか、どうだっていい。私が楽しみなのは三年生男子の組体操だけだ。
また別の先生が朝礼台に立って話す。私はこの先生が嫌いだ。もういいよ…あんたが出て来るだけでさっきまでの五倍は腹痛くなるよ。口に出せたらどんなにいいか。
あと一分で三時五分、というところで、そいつが突然言い出した。
「よーし、じゃあ最後にちょっと校歌の練習しよう。みんなが歌わないと帰れねーからなー」
うそぉ…もうむり……。
そして私は意識を手放し、目を開けると、そこは保健室だった。