お題小説A

□037 どうよう
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いつも通り、奴はすぐ俺の指定した場所に現れた。よぉ、と俺が挨拶すると、うん、と奴は答えた。俺は真っ先に、奴に『笑ってみろ』と命令した。奴は一瞬戸惑ったようだったが、俺は気付かない振りをした。

そして奴が作り出した笑顔は、ただ目を細め、口端を上げただけの胡散臭いものだった。俺がさっき盗み見た奴の笑顔とはまるで違っていた。

何故か俺は、無性に腹が立った。随分長い間を奴と過ごした所為か、俺は奴のことに関しては大分詳しくなったつもりでいた。それなのに俺の居ない所で、あんなに楽しそうに。

この感情は何だ。

何で俺が、こんな奴のことでこんなに苛々しなきゃならない。俺は怒りに任せて、奴を床に押し倒した。
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