お題小説A
□050 雨の日
1ページ/2ページ
050 雨の日
寒いし、濡れるし、湿度が上がって息も詰まる。
傘をさしても片手が塞がるのは不便だし、足元はびしょびしょになる。
空が暗い所為で、気分まで暗くなる。
雨の日は嫌いだ。
あの時は、どんなに寒くても、どんなに濡れても、どんなに暗い気分になっても、君が隣に居てくれるだけで、そっと傘をさしてくれるだけで嬉しかったのに。
君が居なくなってしまえば、前よりももっと、
この日が、疎ましくなる。
しとしとという音が、まるで私の心を打つ音のように聞こえた。
END