お題小説@
□008 長い長い夜の祈り
1ページ/2ページ
008 長い長い夜の祈り
忘らるる
身をば思はず
誓ひてし
人の命の
惜しくもあるかな
あなたが居ない夜は長い。眠れない分、長い。泣き疲れた頃には、窓の外は明るくなっていた。
あんなに愛おしかったのに、どうしてこんなに憎いんだろう。一度愛した人を、どうしてここまで憎めるんだろう。
――――……。
もし、ただ私が後悔するだけの別れだったなら、私はどうしてたかな。今の私のようにただ憎む夜ではない、ただ後悔する夜。
あなたは、私の為に、汚名を被ってくれたのかな。私がすっぱりと、あなたを忘れられるように、あんなに冷たく振る舞ったのかな。
……ああ、せめて。
私との約束を破ったあの人に、天罰が下りませんように。
END