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□009 小さな額
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009 小さな額

「今回投入多いぞ。ペチュ、ベゴ、マリー、サルビア、ビンカ、ポーチュはFAX来とるから、オンラインで上がって来るからな?」

「……はい」

「で、このサルビア、24入りになってるけど、物は28入りやから注意せぇよ?」

「……はい」

「ちゃんと4ポット分手書き伝票作るんやで? ジャンは5店舗やから、140枚やで?」

「……はい」

「で、この4寸のパキラな。これFAX来てないからそれぞれ手書きな。4店舗水曜納品やで、忘れるなよ」

「……はい」

「で、今日は火曜納品の伝票もあるで? 観葉と蘭な? バーコードは後で渡すからな?」

「……はい」

「リフレクサとカラテアは定番リスト載ってないかもしれん。台帳見てコード探してな。サイズ間違えんなよ」

「……はい」

「蘭は多分胡蝶蘭やけど、シンビかデンドロが追加になるかもしれんからな?」

「……はい」

「で、これが昨日来とった発注のFAXな。バイヤーにメールしとくんやで?」

「……はい」

「うん。じゃ俺は集荷あるから行くで?」

「……はい」



……あかんな、絶対伝わってない。

いっぱいいっぱいになっているに違いない部下の額を小突いた。

「何かあったら電話して来い。わからんまま進めるなよ」

「……はい」



帰って来たらまた額を小突くことになるだろうなと思いながら、俺は事務所を後にした。





END
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