お題小説@
□008 長い長い夜の祈り
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「忘らるる 身をば思わず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな」
これは百人一首のうちの右近の一首です。
実はこの歌には解釈がふた通りあるそうで。ひとつは
「忘れられる私の身などどうなろうと構わない。だけど、あなたは私を命を懸けても一生離さないと神に誓った。あなたを恨んだりはしないけれど、神への誓いを裏切ったあなたに天罰が下りはしないか、心配でたまらない。」
という、健気な女性の気持ち。もうひとつは
「忘れられる私の身などどうなろうと構わない。だけど、あなたは私を命を懸けても一生離さないと神に誓った。神様との誓いを破るなんて、あなたはたいしたものね。そんな誓いのせいで命を落とすなんて、もったいないわ。」
という、男性への皮肉ともとれる解釈。
「長い長い夜の祈り」では、前者の解釈のイメージで話を考えました。現代版右近、て感じで。