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□007 絆
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007 絆
「何でそんな女と付き合ってられんの?」
「あ?」
「お前、いつ彼女の話しても愚痴ばっかじゃん」
「ああ……何でかなぁ」
「わかんねぇ。そんなに文句あんなら別れろや。嫌なら黙って付き合えよ」
「いやぁ、やっぱ本人には言えないこととかもあるだろ」
「言えよ、本人に! 不満があるなら別れればいいだろ」
「だからお前はダメなんだ、このヤラハタが」
「言い過ぎじゃね!?」
「不満が出るたびに別れるんか? 何様だって話になるだろ」
「……? だけど…お前ばっかりが我慢してちゃ不公平だろ」
「そんなわけねぇだろ。あいつにだって、俺に対する不満なんて山のようにあるに決まってる。きっとあいつはあいつで連れにこうやって愚痴ってるよ」
「……ふーん?」
文句言う割に、俺が口出すと彼女を庇うんだもんな。てめぇは黙って聞いてろってか。
不満に思うのはお互い様か。そんな絆もあるんだな。
俺は静かに、連れのグラスに酒を注いだ。
END