ミックス

□愛は芽生え友情は育むのさ
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 文化祭がやってきた。
 だからと言って、囲碁部ではそう華々しく人を呼び込むイベントをやるわけでもない。演劇や美術関係の部活ならともかくとして、盤上ではアピールするにも舞台が小さすぎた。
 そういう訳で、毎年、多くの囲碁部員はどちらかというとクラスの催しの方に比重を置くのが恒例だった。……のだが。
「え、え、何、この……ええっ?!」
 筒井は黒ぶちのメガネを指で押し上げて、もう一度確認した。
 確かに、化学室。『囲碁部へようこそ!』という達筆(恐らく現部長の手による)が入り口の貼り紙にしたためられている。筒井の足元を、小学生数人がプログラムを持ってきゃあきゃあ騒ぎながら出て行った。
「こ、この人手は一体……」
 メガネをハンカチで拭いても目の前の光景は変わらない。物好きな、近所のじいさんの数人いれば、という席が全て埋まっている。おまけにギャラリーさえいる。
「あ、筒井さん! 来てくれたんすね!」
「和谷くん……こ、これ」
「ああ、びっくりしたっしょ?」
 やや疲れた顔で笑って、2年の和谷は髪をぐしゃっと掻いた。小学校の教室の様になってしまっている部屋を見渡し、
「なーんか流行ってるらしくって、囲碁。朝からガキに指導碁ばっか……あ、たまに勧誘したいぐらいのもいるけど」
後輩はOBに説明する。
「……ブームっていうのは知ってたけど、これは」
「去年までのカンコ鳥がウソみたいな状態ですよ、あっそだ、筒井さんも打ってって下さいよ!」
 和谷はOBの腕を引いた。元部長に客の相手をさせて自分は逃げようという企みは、口の端にしか見せない。
「いいよ僕は……」
「あれ、あのヤーさ……じゃない、将棋部の部長さんは?」
 筒井の背後と廊下まで見て、和谷は訊いた。
「加賀のこと? 誘ったんだけど、来ないって」
「えー」
 身代りにしようと思ったのに。と、和谷は少しムリめな希望を断念する。






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アキヒカ・カガツツ(パラレル学園もの)になります。

生徒*先生なワヤスミの設定ママです。
和谷がピカルや奈瀬たちと同じ学年。1年上が飯島とか本田。その上がカガツツ(OB)。
……という設定ですよ。自分で自分に確認、、、。

和谷は、話を進めるのにすごく便利なので出してしまいました(笑)。
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