アキヒカ

□Bitter Christmas
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繋がれた手が、熱い。
「塔矢……どこ行くんだよ。なあ」
3回目の問いも無視される。カップルばかりの繁華街は、凍える空気にイルミネーションも映えて最高潮。
なのに、こんなにイブから遠い気分な二人連れもいないだろうと、ヒカルは辺りを見回した。どこでもいいからいい加減夕飯を食べたい。
「おい塔矢ぁ、メシ食おーぜ、」
「……」
「もーとりあえずさあ、マックがヤならモスあるし」
「僕はいらない」
「いら……って、オレが腹減ってんだってば!」
「……」
きっと、アキラの機嫌が直らないのは空腹のせいもある。と、ヒカルは自分基準で考えていた。
「塔矢ってば!」
手を振り払って、逃げよう。店に入れば、多分彼はすぐに追ってくる。
「っ?!」
振り払うまでは良かったが、逃げる間もなく腕を掴まれた。そのまま、ガッチリとホールドされて引きずられる。これは何か、古武道とかそういうアレではないだろうか。
「ちょっとお! ちょ、ま……ちょっまてちょと!」
ヒカルの叫びは所々、女芸人の名前になっているがアキラの知ったことではない。大通りに出てタクシーを拾い、
「……って、ここ……」
ヒカルを連れた先はベネチアングラスで出来たシャンデリアの下だった。
「何でホテル?!!!」
「じっくり話ができる。空腹ならルームサービスを頼めばいい」
アキラが乱暴に、メニューらしき革表紙の冊子を投げて寄越す。その後ろには、東京の夜景がダイナミックに広がっていた。
「……こ、こーゆーとこって、イブとか予約でタイヘンなんじゃ」
いくらヒカルでもそれくらいは分かる。夜景と高そうな調度品に圧倒されて、メニューを見る余裕などない。
「そんな事はどうでもいい。ともかく」
ホテル側に相当な無理を強いた意識もない当の本人は、ヒカルの懸念を一就した。
「今日こそははっきりさせよう」
「……は、何を?」
ヒカルは唾を飲む。和谷のアパートで起こった事の話は、済んだのではなかったのか。
ソファに沈んで脚を組んだアキラが、笑みを浮かべる。怖い。
「まず、君は僕の事をどう考えているのかから聞こうか」
「ど、どうって」
「まずライバルだ。それに異論はないだろう」
「いろん……」
「他には何だ?」
「え?」
話というより、尋問に近くなってきた。


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マガ配信したSweet Christmasの続きです(早よUPせな)。アキヒカドコマデ行こうかな、、
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