02/04の日記

14:43
伝わる
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彼が障害者支援施設の就職が決まり、勤務開始までの一週間で、ある本を読んで感想文を書くという課題が出た。

「どんぐりの家」というマンガで、障害を持つ家族と施設の話。

わたしも読んでみたかったから読ませてもらった。
んで、課題の本は一巻だけだったんだけど、続きが気になって、二巻も昨日買って読んだ。

この本には、わたしが今まで知らなかった障害を持つ子供とその親や近所、関わる人達の苦労や葛藤が具体的に細かく描かれてた。

けど、作者はあとがきで「この本は障害者の支援や理解を促す目的で描いたわけじゃない」と書いてた。

わたしは、まだ二巻までしか読んでないけど、読んでくうちにそれがわかったような気がしました。

作者が伝えたいのは、「人間の成長」「人間が生きる」ってこと。

障害者とその家族を描いているのは確かだけど、世の中の親子、家族、近所、会社、すべてに通じるものを伝えたかったんじゃないかって思った。

障害者とその家族だからって特別ではなくて、誰もが共通する問題、家族同士でも友達同士でも「分かり合えない」ことから生じる問題を抱えてて、それを乗り越えるのは、相手を変えようとするんじゃなく、自分自身が歩み寄ることだってこと。


この本に出てくる話でひとつで、聴覚障害と知的障害を持つ子供とその家族の話がすごい心に残った。

その子がご飯をようやくひとりで食べられるようになった時、今度はその子が食べたものを手に出して見せるようになった。
親は、ちゃんと食べなきゃダメよ、口から出したら汚いよ、と教えるんだけどやめない。
とうとう腹が立って、激しく叱ると、子供は混乱して暴れ出した。

それからいろんなことがあって、絶望的な気持ちまで陥るんだけど、それを乗り越えて、親は気づく。

子供は、ご飯がとても美味しいから、大好きなお父さんとお母さんに食べて欲しい、と思って、自分が食べるよりも先に、食べてもらおうとしてたんだって。

お父さんは嬉しさで泣きながら、子供の手の平からご飯を食べて「美味しいね、ありがとう」と伝える。

すると子供は嬉しそうに笑って抱きついてきた。

耳が聞こえなくても、障害があっても、心は伝わる。

それなのに、この子には聞こえない、伝わらない、わかってもらえないって決め付けて、自分の常識の範囲内で目の前の出来事を決め付けてしまう。
けど、この子は何を伝えようとしてるんだろうって想像して、歩み寄れば、今まで見えなかったまったく新しいことに気づくことができた。

なんか、これって誰に対してもそうなんだと思った。

「分かってもらえない」って思ってるのは、実は自分が相手を分かってないからかもしれない。

いろんなことの視野が狭くなってしまうと、どうしても目に見える状況に対して考えがひとつになってしまいがちだけど、実は考え方って何パターンもあって、その中に解決する答えが混じってる気がする。

考えや感じ方って、その時の自分の状況や気分で大きく左右されて、案外適当なもんで、それをわかっていれば、振り回されることも、あまりないのかなぁと思う。

いちいち腹を立てたり、考え込んだりせずに、まずは歩み寄る。
そのほうが結果的に自分も相手も楽だと思う。

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