私生活〜つれづれ日記自薦集〜

□沖縄旅行記
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2005/07/08
沖縄旅行記★平和の島
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本土は梅雨なのが信じられないくらい沖縄は快晴。朝ホテルの部屋の外から、蝉の鳴き声が聞こえてきて、白く光って見える外の景色がまぶしい。
今日は南部に行ってひめゆり資料館、平和記念公園、喜屋武岬に行く予定。
昨日の夜遅くまで飲み過ぎたせいで、3人とも吐き気がするやら、頭が痛いやらおなかを下すやらでダルンダルン。
昨日の夜は、女7人深い話をして熱くなっちゃったから仕方ないね。
朝食を食べるレストランはもちろんマリンビュー。ヤシの木と白い砂浜ビーチが見えて、ダルンダルンな3人を元気づけてくれた。
なんとか朝食を食べていざ南部戦跡の旅へ。
始めに行ったのはひめゆり記念資料館。私は以前車の免許取りに来てた時行ったけど、あれからまた改装したみたいで、前よりずっとわかりやすく、リアルに展示されてた。
ひめゆり学校の生徒が体験した信じられない残酷で悲しい出来事が、読みやすいように大きな本になってたくさん展示されてて、それを来た人が1枚1枚めくって読むようになってた。壁いっぱいに並べられた亡くなったひめゆりの生徒たちのそれぞれの写真の下には、その子の名前、年齢、どんな子だったか、どこでどうやって死んだかが書かれてあって、死亡者数の数字だけじゃ想像できなかったひとりひとりがリアルに感じられた。
18才とか同い年とか、みんなほんとに若くて、かわいくて、服装とか髪型は昔だから違うけど、多分同じように恋の話とかで騒いだり、冗談言ってはしゃいだりしてた、今と少しも変わらない同年代の女の子たちだった。
おなじ時代に生まれてたら友達になるかもしれなかったその女の子たちは、血と排泄物と膿みのにおいが充満した狭い暗い洞窟の中で、飲まず食わず眠らず休まず、兵隊の足を切断したり、腐っていく兵隊の体のウジを取り除いたり、気が狂った兵隊に罵声をあびせられたり…ほんとに地獄のような毎日を送り、最後には弾に当たったり、過労になったり、手榴弾や毒薬で自決して死んでいった。
想像してみる。もし隣りで友達が死んだら…目を開けたまま、血まみれになって「お母さん」って泣きながら死んでいったら…

次に行ったのは平和記念公園。ここにも資料館があって、その資料館もまた広くてすごくわかりやすく沖縄戦のことが展示されてて、ほんとに生まれたばかりの赤ちゃんが泥の中で死んでる写真とかが何枚も展示されてたり、実物を再現したガマ(洞窟)に入れたりした。
資料館の外は大海原が広がってて、その手前には黒い四角い墓石のようなものが何十もあって、それぞれぎっしり死亡者の名前が刻まれてあった。
数字じゃわからない。こうして名前が並べられてるのを見てあらためて「こんなにたくさんの人が犠牲になったんだ」って気付いた。
想像してみる。もし、大好きな人が兵隊にかりだされて、たくさんの人を殺したら、人に殺されたら…自分の家族が目の前でぐちゃぐちゃになって死んでいったら…
涙がとまらなかった。私が泣いても死んだ人達のなんの慰めにもならないのに、涙が止まらなかった。
帰りに喜屋武岬へ行って、あらためて景色をみわたした。
ここから何万という人達が自ら命を投げた。
こんなに綺麗で青い海と空に囲まれて、のんびり優しい人達が住んでた平和な島を、戦争はぐちゃぐちゃにしてしまった。
なんだかすごくへこんでしまった。
岬のところの駐車場で小さな屋台をしてたおじぃに声をかけた。
「今日ひめゆりと平和記念公園いってきたんですよ。泣いてしまいました…」
私が暗い顔をしてそう言うと、おじぃは
「まぁ〜でもくよくよしてたらいかんよ。これからが大事さぁ。前向きにぃプラス思考でさぁ!」
と優しく言ってくれた。
おじぃの歳は60歳くらい。沖縄戦で親や兄弟を亡くしててもおかしくないはずなのに、どうしてこんなに前向きになれるんだろう。
胸があつくなって、けどなんだかほっとした。
悲しんでてもなんにもならない。大事なのはこれからどう生きるか。どういう世界にしていくかなんだなぁって思った。
沖縄はほんとにいい。
つらい戦争があった過去から目を背けずに、いつまでもいろんな世代の人の心に残るように、工夫して、協力しあって、堂々とごまかさずに真実をみせてくれる。
広島の原爆に比べて、あまり多く語られることのない沖縄戦を、あきらめることなく教えてくれる。
やっぱり沖縄はいい。のんびりしてるけど、傷跡はたくさんあって、アメリカとの国境があったり、琉球の色があったり、ぐちゃぐちゃになってもゆっくり立ち直って、前向きな言葉が口癖で…
沖縄移住したところで、私はなにも変わらないかもしれないし、沖縄県人になれないかもしれないけど、海や傷跡の近くで暮らしていきたい。
夕日で光る海を見ながら、そう思った。
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