笑う女の子
□ママの小さな穴
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僕はママと二人で暮らしています。
パパは僕が生まれてすぐ病気で死んだと聞きました。
僕のママはとても美人で、いろんな男の人がママに会いに来ます。
ママはいつも嬉しそうに男の人を家へ入れ、だけどいつも残念そうに男の人を追い出します。
そして、僕に言います。
「やっぱりこの人もダメだったわ」
ママの部屋のドアには小さな丸い穴がひとつ空いています。
それは鍵穴よりも大きく、ちょうど大人の指が1本入るくらいです。
ママは訪ねてきた男の人に、その穴に指を入れてもらいます。
指が小さすぎてブカブカだったり、太すぎて入らなかったり、ぴったりな人はいません。
ママは残念そうにして
「ごめんなさい。あなたとはダメだわ」
といつも言って男の人を追い出します。
ある日、また新しい男の人が家に来ました。
ママはいつものように、男の人に指をドアのちいさな穴に入れてもらうように頼みました。
すると、指はするっとその穴に入り、ピッタリとはまりました。
ママはとてもとてもうれしそうにしていました。
それからママとその男の人はママの部屋に入りました。
それから数か月たったある日、ママは僕に言いました。
「あなたに妹ができたわよ」
それから僕に妹ができました。僕はとても嬉しいです。
だけど、悲しい事もありました。
あの指がピッタリだった男の人は、パパと同じ病気になって死んでしまったそうです。
ママはまた次々に男の人を家へ呼んで、またあの小さな穴に指を入れてもらっています。
そして、ある日また僕と妹に言いました。
「あなたたちに兄妹ができたわよ」