霞の森
□其の壱
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烏天狗
──今日も村から子供が消えた…
捜せど捜せど姿は見えぬ…
私の可愛い愛し子よ…
一体何処(いずこ)へ消えたのか…──
誰も足を踏み入れぬ
深い深い森の中
昼でも闇が支配する…
迷い込んだが最期…
二度と外には出られない…
誰が見たのか聞いたのか
皆が言うにはその森の
巨大な老樹の大穴に
森の主が住んでると…
主には黒く大きな翼があり
空を自在に飛び翔る
手には鋭き爪を持ち
どんなものでも斬り刻む
森の主の住処には
主に喰われた者達の
屍が幾つも転がっている
大きな身体に黒き羽根
天まで響く吼声に
全てのモノが恐怖する…
──これよこれよ
そこの稚児…
我と一緒に
遊ばぬか…?──