黄泉路

□蛟龍の巫女
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村に流れる清水は村の奥へと続いていた。
村の奥には滝があり、滝壺には古びた赤い鳥居が立ち、その鳥居の奥、滝の中には巨大な蛇を型どった岩が一つあった。

その滝のすぐ傍に、小さな茅葺き屋根の庵が一つひっそりとたたずんでいた。

そこが水神の守護巫女‐翆(スイ)‐の家である。

庵の中に翆はいた。
小窓から差し込む光に背を向けるように正座をし、静かに目を閉じ瞑想をしている。その目の前には小さな神棚が有り、壁には巨大な竜の絵巻きが飾られていた。

翆は目を開くと、静かに庵の外…‐陽光の下へと姿を表す。

長い孔雀色の髪を後ろに高い位置に一つに橙の紐で束ね、結んだ箇所には桃と淡い青の大きな玉飾り、桃、朱黒、藍の色の簪、そして朱の櫛が飾り付けられ、黒と赤で統一された巫女装束を着ていた。
肌は白く、瞳は孔雀色。額には巫女である証しが付いている。
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