真田家

□寒い夜は
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 雪が積もり、風が冷たい夜のことだった。


「兄上、一緒に寝てもいいですか?」
「昌輝…。なんだ、眠れないのか?」
 障子越しに最愛の弟から声をかけられ、信綱はそっと開けた。

「寒くて、目が覚めてしまいました。迷惑なら帰ります」
 手をすり合わせ、体を震わせていた。吐く息が白い。
「いいよ。おいで」
 やんわりと言って、中へ入れた。





「二人で寝た方が温かいものな」
 信綱は先に褥に入り、夜具をあげて、昌輝を招き入れた。


「源五郎はこんな寒い夜はどんな風に過ごしてるんだろう?泣いてなきゃいいけどな」

 府中のお屋形様のもとへ出仕している弟を想う。

「はい。―そういえば、秋生まれの子供が多いのは、寒い夜、こうやって寄り添って寝るからだと申してました」
 信綱の胸に頭を疼くめ、さらに体を寄せて言う。

「誰が?」
「父上です」
「あ、そう…」
(あの、エロ親父が!!)
 心の中で叫んだ。

「兄上は温かくてよく眠れそうです」
 ぎゅっと抱きつかれ、ドキッと心臓が高鳴った。


(なんだかなぁ…)
 密着する熱に意識が行ってしまう。

「昌輝…」
 熟睡したのを確認して、唇に唇を重ねた。
 甘やかなそれの感触に体が火照る。


「ん…、あに…」

「……」

起きたのかと思ってドキっとした。

しかし、規則正しい寝息が聞こえ、ホッとした。








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