戦国時代2
□たけだ家・特別なのは。。。
1ページ/1ページ
ふと、信繁の後姿を見つけた秋山信友は、
「信繁ぇー……」
と、呼び掛けて失敗した、と思った。
信繁が話してる相手が穴山信友だったからだ。室は、お屋形様の姉で自身も武田家と同族という意識が強い者だった。
「秋山、お主、お屋形様のご舎弟を呼び捨てにするとは無礼極まりない。お屋形様の事も軽んじる行為ととられるぞ」
礼も義も怠らない穴山である。まったく最近の若者はというところなのだろう。
「穴山殿、信友は私の友です。別にお屋形様を軽んじてるわけでは……」
「某が軽率でした申し訳ありません」
秋山は、信繁を遮って前へ出、頭を下げた。
「信友……」
信繁は不満な顔をするが、口を一文字に結び、頭を下げ続ける。
「わかればよい。―話は済んだ、わしは、立ち去るとしよう」
秋山を一瞥すると、信繁へ一礼し、その場から離れていく。
「信友、お主は、気にするな。私がそういう風に呼べといったのだ」
「いや、あれは俺が悪かった。父上にも注意されていたことだ」
それでなくとも信繁の方が年上なのだ。
「でも、今更お主に《信繁殿》なんて呼ばれたくないぞ?」
想像して悪寒がしたのか、肩を抱く。
「呼ばないから安心しろ」
そう微笑んだ。
「お主が一人で気負うこともないんだぞ」
「わかってるって。これは性分だから仕方ない」
思いやりがあって、お節介で、仲間を大切に想っている。きっと、信繁がお屋形様のためならなんでもできるのと、信友も同じ気持ちだ。
「損な役だ」
「今更だ。それにお前もいい加減俺に気遣うのやめろよ」
気遣う理由を知っていて言う。
「それこそ今更だ」
****
この二人、子供時代にも色々あった設定です。信繁に間違われて信友が殺されかけたり、信繁を庇って信友が怪我をしたりと。書けたらいいなと思っております。