戦国時代

□たけだ家・兄弟
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 源四郎と昌豊が睨むように見ている先に、楽しそうな信繁と信廉がいた。二人を睨んでいるのではなく、その誰だかわからない話している相手をだ。
 源四郎と昌豊は、仲よさげな雰囲気に苛立っていた。

 ふと、やってきた秋山は、そんな二人にまず目がいき、訝しげにしながら、視線の先を見た。
「あぁ、松尾殿と川窪殿じゃないですかい」
 なんだぁとでもいいたげだ。

「何者だ?」
 不快極まりないといった表情で昌豊がいった。


「教えて欲しいですかい?


    ――異母弟」

もったいぶってから答えた。

「某も会うの久しぶりだな」
 後ろから信竜が現れた。
「なんだ、一条殿も話してくればいいじゃないか」
 二人と同じく異母弟の信竜は珍しく遠慮がちだ。

「二人とも某と同じように他家へ養子にいったから兄という感じがしないし、信廉兄上や信繁兄者のようにはいかないよ」
 と、その時、信竜に気づいた信廉が彼を呼んだ。

「ほら、行けよ」
 背中を押してやる。
「はぁ〜」
 緊張した面持ちで兄たち四人に近寄っていく。



「典厩殿も信廉殿も庶弟相手に気さくないな」
「信廉殿は、兄弟思いなんです」

 弟だからといって腑に落ちない昌豊と、安堵する源四郎だった。

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