戦国時代
□戦いのない日
1ページ/2ページ
−1548年−
秋山は近くの川へつりに行き、ぼちぼち日が暮れる頃屋敷に戻った。
帰る途中、親友であり、お屋形様の弟の信繁の顔が頭に浮かび、彼の部屋へと向かう。
「信しげぇ〜」
中庭から障子越しに声をかけた。
「・・・」
(先に源助の所へ行けばよかったかな?)
返事がなかったため、もう一人の友人の顔を思い浮かべる。
「信しげぇ〜」
もう一度声をかけ、障子を開けた。
「・・・」
部屋へ入るとその中央に横向きに寝転がっている友人の姿があった。
(うたたねか?珍しいな)
秋山はそっと、その傍らに座り込んだ。
信虎が、晴信を廃嫡し、次男の信繁に家督を継がせる−その先手を打って、晴信が父を追放した。
武田は割れる、そう思われた。
年が近い兄弟は争いの元。
しかし、信繁は武田のため、兄のため自決しようとした。
それから、七年が過ぎた。ただ年月がたったわけではない。晴信は領土を拡張させるため、信濃に攻めた。
信繁は、それまで以上に命を狙われるようになった
晴信の身代わりになって、刺客を斬ったり、謀反人を独断で成敗した。