戦国時代4

□水蓮
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 諏訪の姫が晴信の側室となった祝いの宴が設けられた。それに反対の重臣たちも複雑な思いで上座の二人を見ていた。

「信繁殿」
 名を呼ばれ、反射的に振り返ると唇に柔らかな感触がした。

「出羽守殿!?」
 接吻されたと気づくや信繁はその男−小山田出羽守信有を突き飛ばした。

「そんな態度を取ると皆が不審がるぞ」
 周囲を見渡すと、誰もこちらには気づいてないようだった。―否、秋山信友はしっかり見ていたのだがなんということもなく、兵制だった。それともう一人、山本勘助が悋気を帯びた目で見ていた。


「出羽守殿は人がお悪い。私の弱いところを突いてくる」
 まぶたを落とし深呼吸すると落ち着きを取り戻した。

「お主が隙を見せるゆえ。―そんな思いつめたような瞳をするものではない。慰めたくなる」
 熱っぽい声が耳元でささやかれる。

「ここでは嫌です。―今宵、私の部屋へ…。きてくださらなくとも結構ですが」
 感情を読ませないよう表情をなくした。決して寂しいから誘うのではないと。

「誘いに乗らねば男ではないな。必ず」
 そう言って離れ、今度はお屋形様へ酌をしに言った。




         *



「お主はお屋形様の弟に生まれてよかったな」

「はぁ?なに…、あ…」
  
 背中を愛撫していた手を後孔にあてがうと
、無意識にびくりと強張った。
 耳元d囁かれる声は男ながら惚れ惚れするほどいい声だ。これで女ならばうっとりと夢心地になるのだろう。それでなくとも男盛りの美丈夫なのだ。

「戦場ではお主のような者は危険ということだ。戦の雰囲気に興奮した男共にヤリ殺されるだろう。それほど色香があるというものだ」
「出羽守殿ぐらいですよそんなこと言うのは

 ことあるごとに絡んでくる信有にうんざりする。
 適当にあしらっても気にする様子もない。
 実際、信繁とて本気で嫌ではないのだ。
 武田家と小山田家は同盟関係にある。『お屋形様』と呼んでいても一門衆という意識が強い。また、人望も厚く、頼りになる男だった。だが、年相応の好色家でもある。

「気づいていないのか見慣れてるせいか分からぬが、お主は綺麗な顔をしている」
 中へと指を差し込むと、信繁の背中が弓なりにしなった。

「あ…あぁ…」

 聞こえているのかいないのか、目を閉ざし、快楽に身をまかすようにする。

「案外お屋形様とて誘えばのってくるやも知れぬぞ」
 その時、いいところに触れたのか、身体を震わせた。

「おや…かたさまは、弟を…抱くような方…じゃない」
 弟として慕っているのでなければ軽蔑されると思ってる。

「ふーん。敵国の女を娶るようなお人がね。寝首をかかれそうで恐ろしい」

「私としては、出羽守殿だって十分怖いですよ。いつだって我々より高い位置から見下ろしてるのですから」
 うっすら目を開ける信繁の色香にくらくらする。
「わしも自領を守らねばならぬからな。危なきことないよう見張らねばならぬ故」
 頬を優しく撫で脚を広げさせた。

「私たちとあがく気もないくせに…っ」
 一物を菊座にあてがうと息を呑んだ。十分慣らしてないそこに無理やり押し込んだ。

「痛っ、あ…あぁ…」
 痛みで苦悶の表情を浮かべる信繁を嘲笑うかのように見つめ、やがて、肉が裂け、血で中が潤った。
 逃げる腰を引き寄せ挿れ出しを繰り返すと
グチュグチュと卑猥な水音が部屋に響いた。

「あ、あぁぁーーー……、いやぁ……信有ど…の」
 苦痛に顔を歪め、目を潤ませ訴えた。それが、嗜虐心を煽るのをこの者は十分理解してるのか?―否、己を男共が抱くのはお屋形様の実弟だからと決め付けている。

「いいなその顔…。そそられる」
 そういうほど、余裕もなかった。信有は腰を打ち付けるのを加速し、中に性を放った。
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