series ToseixA(Dear)

□無理矢理サイクル
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今日来てくれないだろうか、そんなメールが阿部の携帯に入っていた。
メールの主は島崎、
彼の家に来てくれないかという話しのようだが、どうもおかしい気がして何故と問うメールを返す。

しかし彼から届いたメールは理由もいわず、ただ来てほしいとだけ記されていた。

なんだというのか、嫌な予感を感じながらも仕方なしに向かう点暇人だと自分でも思う。
そこら辺に散らかしてあったシャツを引っつかみ、適当に着替えるとそのまま家を出た。
迎えに行こうかという誘いもあったが大丈夫だと伝えていつも通り島崎の家へ向かう。

既に道順は覚えたし迷うことなく彼の家へついた。
チャイムを押して中から聞こえるだろう声に耳を澄ませるとバタバタとあわただしい音がした後に扉が開く。

「いらっしゃい」

家の主がにっこりとした笑顔で出迎えたが、其の笑顔に阿部はどこか胡散臭さを感じて一歩引いた。
しかし彼はそんなことお構い無しに手を伸ばし、阿部の手首を掴んで半ば強引に部屋の中へと引きずり込む。

「ちょ、ちょっと!!」
「いいから」

なにが良いのかわからず、引きずられるまま部屋の中へ入ることとなった。
其のときもっとしっかり逃げていれば、否、それよりもメールに誘われてくるなどしなければと、後に後悔するとは知らず。
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