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□誰も予想できなかった猛暑日
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昨日は土砂降りに近い雨だったと言うのに、今日は言うなれば夏と呼ぶのにふさわしいような雲ひとつない日。
空気はカラリとしているわけではなく、ジットリと重いうえに粘つく。
高い気温と湿度は合わさり不快指数は限りなく高かった。

そんな太陽の光が降り注ぐ日、とでも言えばいいだろうか、そんな日に阿部は昨日発売したという雑誌を、普段は買いに行く時間が無いものだから休みの日に買わなければと暑さに嫌気が差しつつも外に出たのだ。
本を買って帰るだけだからと帽子もかぶらず財布だけ持ち、昨日の雨で倉庫に押し込まれた自転車を出すのが面倒だからと歩いて本屋に向かう、其の判断がいけなかった。

今日発売の雑誌はマイナーなもののせいか、基本的に入荷部数が少ないもので家に近い本屋には既に無く、仕方無しに少し遠い本屋へと足を伸ばす事になった。

帽子くらいかぶってきた方がよかったかもしれないと後悔しつつ、目に手をかざし容赦なく照り付ける太陽を見れば少しクラリとする。
倒れそうなくらい傾いた体もよろよろと数歩後ろに下がって何とか倒れずに持ち直した。

「・・・っ」

其の体勢のまま足を止めて下を向いた。
気持ち悪さにこんな人の行き交う道端で蹲るのは気が引けて、なんとかそれだけで留める。

そんな現状としては最悪の中で、彼等と出会った。
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