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□*Cherry Color*
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神社の階段、其の中腹に一本道が反れて通れるようになっていると気がつく人はどれくらいいるのだろう、木が生い茂るその道、一種の獣道のような其処を進めばその木や草で出来た道は終わって広場に出る。
少し行けば崖というような場所、錆びた鉄の棒が柵を作って広い間隔を空け突っ立っているのは、これ以上行ったら危ないことを指しているのかもしれないが、余りに広い間隔で意味があるのかと思ってしまう。

ただ其れがここのルールな気がして、それから向こう側へは進まないようにした。
手前に座って其の景色を見る、不思議と心が落ち着く感覚は、この場所を見つけたあの時から景色と同様に代わり映えしなかった。

この場所の下には大きめの公園があって、此処もそんなに高い場所にあるわけじゃないから(落ちたらそれは命に関わるだろうが)遠くまでは木に邪魔されて見えない。

景色に映るのは空と、木と花と、あとほんの少しの地面とコンクリート。

昔から、もうずっと、秘密の場所だった。
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