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□君のための電話線
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おまけ 其の時彼は

おめでとうございます!と勢い良く言われた言葉の後ブツリと切れた電話に、少し前を思い出して「切っていいですか?」と言うのはこういうことだったのかと思わず笑ってしまった。

『あんなに緊張してるからちょっと期待しちゃったよ。』

何か凄い事でも口走ってくれるのではないかと思っていた。
想像していたものと同じくらいに嬉しいモノだということは変わりなかったが。

『・・・なぁんで隆也ってあんなに可愛いかなぁ・・・。』

同じ性別とは思えない、彼の可愛さは異常で、そんな彼と付き合っている自分は苦労もそれなりだがとても幸せだと思う。
携帯のディスプレイをじっと見て着信履歴を表示させる。
一番上に来た彼の名前に、そういえば初めてかけてきてくれたんだと少しだけ感動した。

通話ボタンを押して早く彼の声を聞きたい。
ありがとうといわなければ、気持ちは背を押すが彼のことを思うと安易にそうしてはならない気がして考え直す。

『・・・とりあえず、メールとか・・・。』

着信履歴を閉じてメール画面を開く、なんて打とうかと悩んでいる間に指は文字を打ち込んで早々に書き終わった。

【ビックリした、ありがとう嬉しかった。
なんか、凄い会いたくなったんだけど・・・電車無いと来れないから残念だね。】

そろそろ音信を待っているだろう彼に早く送ってやりたいと思う。
送信ボタンの手が止まってじっと画面を見つめ、その短い文章を読み返す。

『・・・逢いたい。』

もう一度編集画面を開いて内容を付け加えた。


【もう一回、声聞きたい。落ち着いたらかけてきて、待ってる。】
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