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□君のための電話線
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そこには一通のメールを知らせる文字があり、差出人を確認してドキリとした。

『・・圭輔さん・・・。』

電話ではなくメールがきた事実に驚きつつ、携帯電話を手馴れた手つきで操作して届いたばかりのメールを開く。

【ビックリした、ありがとう嬉しかった。
なんか、凄い会いたくなったんだけど・・・電車無いと来れないから残念だね。】

嬉しかった、の一言に少しでも喜んでくれたのだと思うとほっとした。
肩の力が抜けていくのを感じながら、ベッドに身を深く埋めて体を伸ばす。

明日は休みなので行っても構わないのだが、彼の言うとおり確かにもう電車は無いのでソレはできない。
確かに、逢いたくてたまらなかったが手段がないのが歯がゆかった。
自転車で行くには彼の家は少し遠すぎる。

【もう一回、声聞きたい。落ち着いたらかけてきて、待ってる。】

最後の一文にどきりとした。
その短い文章にメールを変えそうか、如何しようかと悩んだ末やめる。

深呼吸の後、随分と落ち着いた自分を感じて発信履歴の画面を開いた。
さっきの電話ではまともに声を聞いていなかったから、今度はちゃんと聞かせてもらおうと決意する。

2回目の通話ボタンはやけにあっさりと、戸惑い無く押された。
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