Long Story
□恋
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けど、そんなにすぐ感情が殺せるわけがなく……。
気がつけば、いつも三橋を見ていた。
「おい、三橋」
そして気がつけば、話しかけていた。
「な、なに?阿部君」
「お前、マフラーは?」
「う……忘れた」
「忘れたぁ!?」
今は2月。寒い日が続くから、毎日防寒しとけよっていつも言ってあるのに……
どうして三橋はこうも手がかかるんだ……
俺は仕方なく、自分の首に巻いていたマフラーをはずし、三橋に渡してやった。
「え……コレ…」
三橋はアホみたいに間抜けな顔をしていた。
「貸してやるから。それ巻いて帰れ」
「で、でも!阿部君は?」
「俺は寒がりじゃねぇし。12月生まれだし」
最後の言葉は別に関係ねぇけど。
「で…でも……」
「だぁっ!!いいから、巻けっつってんだろ!!貸せ!!」
いつまでもウジウジしている三橋に苛々し、俺はマフラーをひったくって、三橋の首に巻いてやった。
「……これでいいだろ!」
「う…うん……ありがと」
そして、三橋は、綺麗に笑った。
「………っ」
ダメだ。そう思って、俺は三橋から目を逸らした。そして、気も逸らそうと、後ろから「でたー阿倍の過保護!!」を叫んでいる田島を殴りに向かった。
なんで、自分はこうも三橋のことを好きなのだろう。
やっぱり、三橋を好きって気持ちは抑えられない。
特に、アイツの笑顔を見ると………なんつーか、心臓が鷲掴みされてるような感覚を覚える。
ヤバイって、俺。どうにかしなきゃいけねぇぞ、この感情!!
「痛ぇ!!痛いって、阿部!!!」
この感情に自分自身テンパってて、手加減せずに田島にウメボシを食らわせていたことに気づいたのは、かなり後になってからだった。
なんとか、この感情を殺せる方法はないか。
俺は毎晩毎晩、そのことしか考えていなかった。
でも、俺には答えを出す術を見つけることができなくて……
しかし、そんな俺に転機が来たのは、翌日のことだった。
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