◆幻novel◆
□新生物、誕生!?
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本拠地のホール。
石版の後ろ、中二階のテラスは幕で囲われ見えなくなっていた。
新たに仲間になったジュドという男が、リオウとの約束から守護神像を作っているのだ。
彼はニューリーフ学院で教師もしていた彫刻家で、本拠地内でも「どんな立派な像が出来るのか」という噂で持ち切りだった。
皆が期待して待っているのだが、余り歓迎してない人物も一人。
「見物に来る人が多くて落ち着かないんだけど。…大体…まだ像が見えないってのに、なんで来るワケ?」
ジュドが像を作っているすぐ下が定位置のルックだ。
「みんな楽しみにしてるんだよ、ルック。分かってあげてよ」
珍しく部屋まで抗議に来た彼に、リオウは困り顔で言った。
そろそろ完成間近の像。
ワクワクと待っているみんなの事を考えると、近づくな、と禁止はさすがにできない。
「たかが像でしょ、何が面白いんだか…」
不機嫌そうに腕を組む。
「う〜ん……あ、そうだ。ついでだから。何か要望とかあったら言ってよ。目安箱あるのに、ルック出してくれた事無いでしょ。今回の事だって手紙を書いてくれれば良かったのに」
「めんどくさい」
ザックリ返され、リオウも笑うしかなかった。
「とりあえず…人が多くて気になる時はさ、図書館とかに避難しておいてよ。少しすれば落ち着くと思うから」
「しょうがないね…」
ルックは盛大にため息をつき、部屋を出ていった。
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